医療広告のガイドラインの改正で罰則も?通報されないよう気をつけるべき7つのこと

2018年6月1日に改正医療法が施行されたニュースは記憶に新しいと思います。

今回の改正における最大の焦点は、今まで医療広告として扱われていなかった病院または診療所の「ホームページ」が広告の対象として扱われるようになったことでしょう。医療広告ガイドラインの改正に伴い、詳しいことを知らずに医療広告に違反して通報などをされると、最悪のケース罰則を受ける可能性もあります。

今回は医療広告に詳しい弁護士を迎えて社内で行った医療広告ガイドラインについての勉強会の内容を踏まえ、

「医療広告のガイドラインで気をつけるべきこと」

「医療広告として情報発信できるもの、できないものを把握するための考え方」

をお伝えしていきます。また、通報されてしまうリスクやどんな場合に罰則を受ける可能性があるのか、についても見ていきましょう。

 

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そもそも医療広告とはなに!?医療広告ガイドラインについても説明!

医療に関する広告は『医療法(第6条の5)』に定められています。

『医療法(第6条の5)』の解釈などを細かくまとめたものが『医療広告ガイドライン』に該当し、『医療広告ガイドライン』に記載されているものの具体的な事例をベースに構成した質問回答集が『医療広告ガイドラインに関するQ&A』です。

【厚生労働省:医療広告ガイドライン】

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf

【医療広告ガイドラインに関するQ&A】

https://www.mhlw.go.jp/content/000371812.pdf

医療法における広告とは?

 

そもそも広告とはどういったものをいうのでしょうか?

 

医療法における「広告」とは『誘引性』『特定性』のいずれの要件も満たしているものと定義されています。

漢字が並んでいて分かりにくいですね、、、それぞれさらに噛み砕いて説明していきます。

 

『誘引性』とは、医療機関から発信された情報物等を表示した者が、患者の受診等の利益(医療機関の収益源は患者の治療であるため)を目的とし、患者を誘いこむ意図があることです。

例えば、学術論文の場合であっても、不特定多数にダイレクトメールを送信するなど、実際には医師が患者の受診数を増やすことを目的としているような場合は、「誘引性」有りと判断されるため注意が必要です。

 

次に『特定性』です。特定性というのは、医療機関や医師の名称を特定可能であることを言います。

例えば、住所、電話番号、WEBサイトのURL、病院名などが、ウェブサイトを見た人から特定される場合。また、新しい治療法等を掲載した書籍に「この治療法に関する問い合わせは、〇〇研究室まで」と記載すること、以上の様なことも広告として扱われることがあるため注意が必要です。

医療広告の基本的な考え方

医療広告を掲載する際、注意して考えるべきポイントは以下の3点です。

広告の主体は誰なのか

注意すべき点は、広告の主体が医療機関のみならず企業や個人も該当しうる場合があることです。それは広告規制の対象が、「何人も、医業もしくは歯科医業又は病院もしくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける物を誘引するための手段としての表示をする場合には、虚偽の広告をしてはならない」とされているためです。

医師・歯科医師・病院・診療所等の『医療機関』が広告の主体となることはわかりやすいと思いますが、それ以外にも、マスコミ・広告代理店・アフィリエイター等の『企業』、患者等の『一般消費者』のすべてが広告規制の対象とされています。ですので、自分は医療機関の人間ではないから大丈夫、という考え方には注意が必要です。

また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(ダイレクトメール含む)も規制の対象になる場合があります。

 

使用されている表現が「広告」に該当するか否か

医療広告に該当するか否かを判断する際に注意するポイントは、先ほど出てきた『誘引性』または『特定性』に該当する表現が使われているか、どうかです。

こちらのいずれにも該当する場合は、医療広告として該当します。

広告主が医療広告のつもりで作成していなかったとしても、「誘引性」及び「特定性」があれば医療広告ガイドラインの禁止事項に該当するので注意しましょう。

 

その「広告」は禁止されているかどうか

その広告が禁止されているかどうかを判断するために気をつけるポイントは、さらに細分化すると2点あります。

下記の2点を把握しておくことがとても重要になってきます。

  •  「広告として禁止されている事項」
  •  「限定解除、広告として可能な事項」

こちらの2点については次項で詳細に説明していきます。

 

医療広告について具体例も踏まえてさらに深掘りしていこう

この章では、その「広告」が禁止されているかどうかについて詳細にご説明していきます。

実際に禁止されている、または不適切な表現とされている項目を具体例を交えて見ていきましょう。

 

禁止されている広告7種類とは?

禁止される広告は以下の7種類に分類することができます。

① 虚偽広告

② 比較優良広告

③ 誇大広告

④ 公序良俗に反する内容の広告

⑤ 口コミ

⑥ Before After

⑦ その他

一つずつ見ていきましょう。

虚偽広告

上記の7つの項目の中で唯一、虚偽広告に該当するものは直接の刑罰対象になるため、細心の注意が必要です。

刑罰対象となってしまう理由は、患者に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失させたり、不適切な医療を受けさせる可能性があるためであると考えられます。

医療とは時に命に関わることがあります。命までいかなくても、身体の不調が生じたり、後戻りできない事態が生じることも多々あります。そのため、広告を見てそれを信じた患者が被害を受けてしまうことを絶対に避けるためにも、この虚偽広告は厳しく規制されているのです。

具体的な例を見てみましょう。

 

医療法第6条の5 第1項 「虚偽の広告をしてはならない」

例)

・絶対安全な手術です!

・どんなに難しい症例でも必ず成功します
絶対安全な手術、必ず成功する等は、医学上あり得ないので、虚偽広告として扱われます。

・画像編集ソフトなどで、加工修正した術前術後の写真等の掲載
あたかも効果があるかのように見せるために加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱われます。なお、加工しないことはもちろんですが、後述の通り、術前術後の写真を掲載する場合は通常必要とされる治療内容や費用などの説明を加え、メリットだけを紹介するのでなくリスクや副作用をしっかり記載・説明しなければならないというルールもあります。

・1日で全ての治療が終了します
(治療後の処置等が必要な場合)治療後の処置等が必要であるにも関わらず、全ての治療が1日で終了するといった内容の表現を掲載している場合には、内容が虚偽広告として取り扱われる場合があります。

・◯%の満足度(根拠・調査方法の提示がないもの)
データの根拠(具体的な調査の方法等)を明確にせず、データの結果のみを示すものについては、虚偽広告として取り扱われる可能性があります。また、限られた患者さんを対象に実施された調査(偏りのある調査)や謝礼金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータとは言えないものについても虚偽広告として取り扱われます。

 

比較優良広告

特定または不特定の医療機関と自院を比較対象とし、施設・人員・医療行為の内容について自院が他院よりも優良であることを意味した広告は、患者さんに著しい誤認を与えるため禁止されています。

具体的な例を見てみましょう。

医療法第6条の5 第1項 「他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと」

例)

・肝臓ガンの治療では、日本有数の実績を有する病院です。

・当院は県内一の医師数を誇ります。

・本グループは全国展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。

・芸能プロダクションと提携しています。

・著名人も〇〇医師を推薦しています。

・著名人も当院で治療を受けていおります。

 

誇大広告

誇大広告とは、虚偽広告とは言わないまでも、施設情報や働いている人員、医療行為の内容などに関する事実を不当に誇張する広告の内容のことです。誇大広告は患者さんに誤認させる可能性があるため禁止されています。

具体的な例を見てみましょう。

医療法第6条の5 第1項 「誇大な広告」

例)

・医師数◯名(◯年◯月 現在)

示された年月の時点では、常勤換算で◯名であったが、その後、状況の変化により、医師数が大きく減少した際、更新せずに以前のデータを掲載していた場合は誇大広告として扱われます。

・手術や処置等の効果または有効性を強調するもの

撮影条件や被写体の見え方を意図的に変えて撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、実際の効果以上に有効性をアピールすることは誇大広告として扱われます。

 

・伝聞や科学的根拠に乏しい情報の引用

医学的・科学的根拠に乏しい文献やテレビの健康番組での紹介による治療、また生活改善法等の紹介は、客観的な事実であると証明できないため誇大広告とされます。

 

公序良俗に反する内容の広告

わいせつな表現の広告や、残虐な図画や動画や差別等を助長する表現を使用した広告などがこれに該当します。

 

口コミ

医療機関が、治療等の内容や効果に関して、患者自身の体験や家族等から聞いたことを基にした体験談を、自身の医療機関への誘引を目的として紹介することは禁止されています。個々の患者の状態等によってその感想は人それぞれであり、誤った認識を与えるおそれがあるため、 医療広告の禁止事項に当てはまります。

上記を踏まえた上で、口コミに関しては以下のような順序で考えると整理しやすいです。

  • 表示主体は誰なのか
  • 広告に該当するか(誘引性・特定性)
  • 該当する場合は全面的に禁止

口コミについては表示の主体が、『サイト運用者』なのか『医療機関』や『患者』なのかによって変わってきます。誰が表示の主体かにより、その主観的意図である「誘引性」の判断が変わってくるからです。

表示主体が『医療機関』の場合、医療機関に誘引性が無いといえる場合はほとんどないので、その時点で禁止対象に当たると考えるべきです。

口コミサイトなどの『サイト運用者』の場合も、例えば医療機関から掲載料などを受けている場合は誘引性が有りと判断される可能性が高いと考えるべきでしょう。

『患者(一般消費者)』といった個人が口コミサイトなどに口コミを書き込む場合は、その人には誘引性が認められない場合が多いでしょう。つまり、ネガティブな口コミなど、他の患者にもその病院に行って欲しいという医療機関の利益を図る意図がないケースが多いと思います。ただし、サイト運営者が、口コミの内容を編集したり、ネガティブな口コミを非掲載としたり、順番を意図的に入れ替えたりする場合は、表示主体がサイト運営者となり禁止される口コミとなってしまう可能性があります。サイト運営者には中立的なスタンスが必要であると言えます。また、医療機関が患者に対して、肯定的な口コミを依頼したような場合にも、患者には誘引性が生じ、禁止される口コミになってしまうと考えられます。患者の口コミは、生の声をそのまま掲載するというスタンスを徹底することが必要です。なお、医療機関のウェブサイトに口コミを掲載することは認められていませんのでご注意ください。

 

【医療広告ガイドラインに対するQ&A(6ページ参照)】

https://www.mhlw.go.jp/content/000371812.pdf

 

 

Before After

治療等の内容に関する術前・術後の写真は患者さんを誤認させる恐れがあるため、掲載するための条件が付されました。なお、口コミと異なり、広告に該当する場合であっても条件を満たせば掲載することができます。

出典:第7回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会の資料「省令(案)について」からの抜粋

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000186385.pdf

上記のように「詳細な説明文(具体的な治療内容、副作用、リスク)がある」という条件で掲載が認められることになりました。

 

その他

「品位を損ねる広告は法律や法令で違法と定められたものではないが、表現として不適切なため慎むべきもの。」

とされています。特に費用を強調したものは不適切な広告表現の対象として挙げられています。この辺りは明確な基準はありませんが、誰が見ても下品だと感じるようなものは通報されたり、注意を受ける可能性がありますので気をつけましょう。

 

医療法第6条の5 第1項 「公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと」

例1)

・今なら◯円でキャンペーン実施中!

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・〇〇治療し放題プラン

・月学〇〇円で通常◯〇〇円のものが6回まで受けられる

・〇〇を受診された方に◯◯をプレゼントキャンペーン

 

要件を守れば広告掲載もできる!限定解除とはなに?

これまで説明してきた禁止事項は、常に遵守しなければなりません。これに加え、医療法は広告をできる項目を医療機関の名称や診療科名などに限定しています。しかし、「広告可能事項の限定解除の要件」を満たすことで広告として掲載できるものがあります。

限定解除の対象とならないと、そもそも表示できる事項が大幅に限定されてしまうので、対象となるように工夫する必要があるでしょう。

 

広告可能な事項の限定解除の対象となるための要件は下記の4点です。

  • 患者さんが自ら求めて入手する情報を表示するWEBサイト、メールマガジン、パンフレットなどであること。
  • 掲載内容について問い合わせができる連絡先、連絡方法を記している場合。
  • 自由診療による治療内容や費用などについて情報を提供すること。
  • 自由診療による治療のリスク・副作用について情報を提供すること。

これらの4点を満たすことで、晴れて画像1等の項目を情報掲載できるようになります。

しかしながら、ガイドラインやQ&Aだけではどこまでの情報が広告可能かわからないことがどうしても出てきます。究極的には問題が生じた際に自治体の医務主管課(保健所)へ判断を仰げば問題ありません。

 

医療広告についてまとめ

今回は、「医療広告のガイドラインで気をつけるべきこと」「医療広告として情報発信できるもの、できないものを把握するための考え方」を中心に、通報や罰則を受けないためにすべきことを、具体事例を交えて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

医療広告のガイドラインはより厳密に、監視体制はより強化の方向へすすんでいます。しかしながら、ネットに関しては情報発信をする方法や目的、発信者、利益構造がこれまでのメディアとは異なるため、現状のガイドラインではまだまだ不十分な点が多いこともまた事実です。加えて、現行の医療広告のガイドラインも非常に曖昧な表現が多く、具体的事例がまだまだ集まっていません。また、現状では美容広告をメインに広告是正が行われていますが、これから、診療所や病院の広報物のチェックも厳しくなっていくと予想されます。そのため、医療広告の知識をインプットしキャッチアップしていくことが、医療機関の広報担当者に求められます。これらを踏まえた上で医療機関の広報担当者は広報物制作会社を選定していく必要があります。

 

【メディカルローグは、医療広告に詳しい弁護士の助言のもと、医療機関のHP制作やチラシや動画などの広報物の制作を行っています。広報物の制作や広報物依頼を考えている医局の担当者様、是非お問い合わせください】

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