こんにちは。メディカルローグ株式会社です!
先日、日本のApple Watchユーザーが待ち望んでいた「心電図」アプリ機能がついに解禁されました。
先行利用が進んでいた海外では、既にこの機能を利用した健康のための様々な施策が構想・具現化されつつあるようです。日本でも心電図機能が使用可能となった今、個々人の体調管理に留まらず、大規模な医学研究でもこの心電図機能を活かせるはずだ!と私たちは期待しています。
今回は、私たちの得意分野である医学研究アプリにおいて心電図機能をどのように応用化していけるか、その可能性についてお話ししていきます!
日々の臨床業務で忙しい中でもアプリを利用した研究をしてみたいという方、興味はあるけれども具体的なイメージが湧かない方、Apple Watchのニュースを見て心電図機能に興味をお持ちになった方、是非チェックしてみてください!
Contents
Apple Watchの心電図機能と医学研究アプリの親和性
メディカルローグはこれまで、Apple社が開発したフレームワーク「ResearchKit」を活用して多くの医学研究アプリを開発してきました。
スマホさえあればどこでも使用できるアプリを使えば、ユーザーから多種多様なデータを集めることができます。ユーザーの同意の上で得た日々の健康状態に関するデータを利用して、日常生活と密接に関連した疾患にアプローチする研究が可能です。被験者の参加が容易であり、オープンで大規模な研究ができるのが医学研究アプリの最大のメリットです。
心電図機能と医学研究アプリの親和性
そんな中、今回解禁された心電図機能は、アプリを使った医学研究をさらに飛躍させる触媒になるでしょう。
心電図は、循環器疾患の診断に用いられる検査の一つで、一般的には病院内もしくは学校健診等の機会でなければ受けることができません。しかし、海外の大規模な臨床治験を経て開発されたApple Watchの心電図機能はその一部を担う可能性を持っています。
日常的に自身の心電図を確認することで、不整脈の早期発見・予防や既往症の再発および増悪に気付く可能性があります。主治医にデータを転送することで、非来院時の体調管理および医師からの早期フォローを得られるかもしれません。
研究にどのように生かせるか?
この心電図機能を利用することで、どのような医学研究が可能でしょうか?
話題性と新規性に惹かれて、最初こそ頻繁に使用するユーザーは多いかもしれません。しかし、何の外的要因もなく定期的に自身の心電図および不規則な心拍の通知を確認することを継続できる人ばかりでしょうか?おそらく、そうでない人が少なくないと思われます。もしかすると、利用方法によって各ユーザーの健康状態に差が出るかもしれません。
そこで、定期的に心電図機能を利用するユーザーとそうでないユーザーの両者を長期にわたって追い、循環器疾患の発症率や早期発見率、予後、死亡率などのデータを集めれば立派なコホート研究になるのではないでしょうか。
あるいは、過去のデータと照らし合わせることによって心電図機能の利用率の変化と循環器疾患の疫学的な変化の関連性を分析および解析することも可能だと思われます。
心電図機能は、心疾患の早期発見・予防、およびフォローの補助的な検査値としての有用性がこれからさらに議論されていくと思われますので、その過程で心電図機能を利用した長期フォローアップを臨床的に実践していくことは大きな意義を持つでしょう。
こうしたデータ収集と効果の実証は医学研究アプリの得意とするところです。循環器疾患の既往歴を持つ方やハイリスクの方を対象として、一定間隔ごとにApple Watchでの心電図測定を通知で促進し、心電図の結果に照らし合わせたアドバイスを提示するアプリはResearchKitでの開発が理論上可能です。
コロナ禍・コロナ後の医療における心電図機能の有用性
ここで、海外では既に行われ始めている「病院-ユーザー間の連携」についても少し触れたいと思います。
ユーザーの心電図が医師に定期的に送られ、非来院時にその患者の体調を確認し、フォローできる。そんな新しい医療の形が実現されつつあります。Apple Watchの心電図機能の利用が既に普及していた他国での試みです。
しかし、今後の各国での活用方法はそれだけにはとどまらないでしょう。コロナ渦で、複数の病院を行き来することはおろか、体調不良で来院することさえハードルが上がりました。このような状況で、なるべく来院回数や時間を減らして病院間の連携を取りつつ患者にとって最適な治療や支援を受けられる環境をどうやって維持するか。
そこでこの心電図機能が突破口を作るかもしれません。というのは、“病院-病院間の連携”です。病院あるいは医師の間での心電図データの共有が容易にできれば、患者データの大まかな把握、時系列に沿った病態の読み取りがスムーズに行われ、その後の病院の紹介時や診断、治療後のフォローアップの効率化および予後の改善に役立つ可能性があるということです。昨今の大きな問題となっている医療費削減への寄与も期待されます。
勿論ここでの活用方法が有効であることが示されるためにも、医学研究という側面から切り込む手段として“医学研究アプリ×心電図機能“は有用であると思います。どのような切り口であれ、心電図機能の効果の実証となれば、日常的にユーザーデータを収集できる医学研究アプリの出番です。
まとめ
今回はApple Watchに搭載された心電図機能が日本でも使用可能となった今想定される“医学研究アプリ×心電図機能“の化学反応についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
今回解禁されたApple Watchの心電図機能は臨床現場と研究の両方の側面で有用であり、医学研究アプリとの親和性も抜群で、今後の活用が期待されます。
コロナ禍で病院との距離感が従来よりも難しいものとなっている今、医学研究の可能性拡大および臨床現場のマンパワー不足を補う一助として、この心電図機能は我々に大いなる希望を与えてくれることを期待しています。
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