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【リウマチ症状をアプリで研究?!】リウマジョイ開発秘話を専門医に特別インタビュー
2021.05.20

 

ハッピー、ジョイ、ファン♡
リウマチを専門とし、臨床医として活躍する小笠原倫大先生の口から飛び出したこのフレーズの意味するところは、この記事を読み終わる頃には、きっと頷けるはず。

小笠原 倫大 (おがさわら みちひろ)
順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科 准教授
関節リウマチ、膠原病疾患を専門とし、臨床現場で活躍している。

2020年5月20日、医学研究アプリ『リウマジョイ』がリリースされた。
リウマチ患者さんをユーザーとする医学研究アプリである。監修は、順天堂大学医学部附属病院でリウマチ・膠原病を専門に診る臨床医、小笠原倫大先生。リウマチ患者の生活習慣・気候とリウマチ症状の変動を記録し、それらのデータを解析することで、リウマチ症状の変動予測および症状緩和へのアプローチ方法を追究する。

パッと目を引くキュートなフォルム、細部までこだわったプリティなデザイン、その可愛さ(と容易な操作)とは裏腹に、しっかりとリウマチ患者さんの日々の症状を部位別に記録することができ、非常に便利なこのアプリ。

なぜ,医学研究アプリでリウマチ研究を始めたのか?なぜ可愛さにこだわったのか?
リウマジョイ』に込められた小笠原先生の熱い想いに迫った。

 

リウマチ研究を「医学研究アプリ」で行うという選択

―そもそも先生がリウマチの研究をアプリで行うに至ったきっかけは何でしょうか?

小笠原「ある研究会で、他科の先生ですが、医学研究アプリのデータを解析して発表しているのを見て、診察時ではなく患者さんの普段の様子から得られる臨床情報を解析できることに非常に興味を持ちました。また、ちょうど同じ時期に米国のリウマチ学会で,アプリデータ解析についての集中講座のようなものが開催され、そこでは非常に活発にアプリデータの解析が行われていました。データを集め、解析するスキルが自分にもあるだろうと思い、医学研究アプリを作りたいと考えました」

―リサーチキットをご存知でしたか?

小笠原「全く知りませんでした。当時医学研究アプリを使用した研究を行っていた先生からのご紹介を受けてメディカルローグと提携したアプリ開発に至り、初めて知りました」

国内ではまだまだ、医学研究アプリの知名度が低いことがうかがえる。ましてや、アプリを使ったリモート研究にどのようなメリットがあるのか、想像すら難しいと思われる。

 

特徴的な可愛らしいデザインに込められた想い

―『リウマジョイ』は可愛らしいデザインが非常に特徴的ですね!痛みを伴うリウマチの疾患イメージからかけ離れたものになっていると思いますが、ここまで可愛らしさにこだわった理由は何でしょうか?

小笠原「最終的には患者さんが使って少しでも楽しい気分になってほしいというのが一番ですね。ある論文を読んだこともきっかけになっています。その論文では、リウマチ患者さんのハッピーの程度がどのようなことに影響されているかについて解析した結果が述べられていました。読む前は、“痛みがない”とか、“運動ができる”とか、そういった“痛みのない快適な生活ができること”がハッピーと最も強く関連していると思っていました。しかし、解析結果によると“患者さんの前向きな性格”も強く関連し、重要だったのです」

この情報が、その後の小笠原先生の診療やアプリのコンセプトにダイレクトに繋がった。

小笠原「患者さんにはできるだけハッピーな気持ち、少しでも前向きな気持ちになってほしい。最終目標がハッピーならば、少なくともデザインはとことん可愛らしく作ろう!と。医学研究アプリはリサーチのためのものだから、通常は外観やフォントなどは真面目に作ると思いますが、僕はできるだけかわいらしく楽しいデザインにしたかったのです」

前述の米国の学会でも、アプリのデザインは患者さんにとって楽しいものであることが推奨されていたという。

小笠原「医学研究アプリは、ユーザーである患者さんが継続的に使用するために、“ファン”で楽しいことが重要視されていました。こういった側面も後押しとなり,真面目なデザインはやめることにしました」

―日々の痛い関節部位を入力する図は、当初のデザイン案ではただの人体型でしたが、もっと楽しげに、という先生のご要望があって、今のデザインに至りましたね。

小笠原「楽しげに踊っているかのようなフォルムや可愛らしい色使いが非常に気に入りました。前向きになれそう。ただ,他にももっとデザイン案はありましたよね。本当はもっといろいろなパターンをランダムに出す形にしたかったのですがね 」

―ありがとうございます。その点は,申し訳ありませんでした…コスト面で妥協が必要だったりしますからね (汗)

小笠原「アイデアは沢山あったけれど、コストなどの事情で全てを叶えることは難しかったですね」

―そうですね。先生のアイディアには毎度驚かされたのを覚えています。

 

2D4D比測定機能*の意味とは?

―「2D4D比測定機能」について詳しくお伺いしたいのですが、こちらは先生としては重要な機能の一つなのでしょうか?

*ユーザーの手を撮影し、人差し指と薬指の長さの比を求めることで患者さんの胎生期のホルモン情報を推定しアドバイスが得られる機能。

小笠原「多くの患者さんからスマホを介してデータを取得し、解析に使わせていただけることで、得られる情報は最大限に活用していきたいと思いました。となると、画像データでも何かできないか、と後付けで思いついたのがこの機能でした。元々、スマホで歩数と気圧のデータを取得できることは魅力的で…運動は鎮痛効果をはじめ、リウマチへのポジティブな影響が多数報告されていますから、歩数、日常生活と痛みの関連性、ないしは天気痛といわれるような気象情報と痛みとの関連性をみたいと思っていました。ただ、それだけではなく、画像データを何か加えるとなったときに、リウマチ患者さんの指の形態を画像として残せば経時的な変化を追えるのではないかとも考えました」

この案は最終的には実現には至らなかったが、小笠原先生は別の観点から現在の案にたどりついた。

小笠原「指の長さの比からお腹の中にいた時のホルモン情報を推定できるというのは知られているコトでした。他科の先生方も疾患と2D4D比を対比させて議論していました。リウマチに関してはまだ検討された前例がありませんでしたが、全身性エリテマトーデスに関して当科で検討されたことがあり、その当時2D4D比測定が実施されていたことを急に思い出しました。胎生期の母体内でのホルモン情報をある程度推測できるというのは、夢みたいで興味深いし、その方の人柄や特徴を推測できるのは面白い。まして、ポジティブな内容をフィードバックできれば、患者さんはハッピーに少しでも近づけるのではないか、と。結果的にアプリのコンセプトにも合致すると思いました」

ー指の長さを測ってフィードバックを貰えるのは面白いですね。

小笠原「ちょっと楽しいですよね。一方で、ネガティブな内容はフィードバックしないことに決めました」

ー2D4D比測定機能は、患者さんの”ハッピー、ジョイ、ファン♡”に繋がっているというわけですね!
 症状の記録に小さな楽しみをプラスすることで、患者さんのモチベーション維持にもつながりそうです。

 

症状の推移を確認できるカレンダー

小笠原「カレンダーに👍マークがありますよね。日々の症状の変化を見るっていうのが、自分自身の状態の把握と共に,担当の先生へ自分の状態をお知らせする際にも分かりやすいですよね。最初はグラフというのも考えましたが、もっと楽しいものにしたいな…と」

当初は痛い関節部位を視覚的に示した人型の図をカレンダー上でも確認できるように実装する予定だったが、スペースの関係上断念せざるを得なかった。そこで、代わりに👍マークを並べることになった。

小笠原「👍のすべての指の色が白かったら症状が良い、指の色が赤い日は痛みがあるということ、という風に、症状が一目でわかるようにしました」

難しい機能や操作を省いた優しいUIから、先生の患者目線での構想が伝わってきます。

ーアプリを使用した患者さんからは,どういった声が届いていますか?

小笠原「『可愛いですね、使いやすいですね、毎日記録してますよ』といった声を頂いています。要望として、『メモ機能が欲しい』という声があって、今年の3月にアップデートし、カレンダーにメモ機能を追加実装しました」

 

医学研究アプリを用いた研究の実際

ー実際に『リウマジョイ』を使用したデータ収集を行ってきて、先生がやりたかったことをできそうな手ごたえを感じていますか?

小笠原「解析にはもう少し時間がかかるでしょうけれど、おかげさまで多くのデータを集めることができています。運動と痛み、気候と痛みの関係について、今までにない新たなデータを得られることを期待しています」

ー従来の研究手法と比較して、医学研究アプリを使った研究の特徴やメリットは何でしょうか?

小笠原「従来の膠原病診療では、患者さんからリモートで得られる臨床情報は研究にはあまり用いられませんでした。しかし、現在はコロナ禍ということで、簡単に来院できず、一部の患者さんではリモート診療をせざるを得なくなり、患者情報を把握するのにPROが非常に有用であることが分かりました。PROと親和性のあるアプリ研究に追い風が吹いているように感じています」

読者の皆様は、Patient reported outcome (PRO) という概念をご存じだろうか?
患者さん自身が記録・報告する健康状態の主観的な指標のことであり、それらを解析に用いるスタンスが定着しつつあるようだ。コロナ禍において容易な接触ができなくなり,必然的にPROに着目するという方向性、有用性が見えてきたようだ。

小笠原「リウマチに対する治療は、メトトレキサートや生物学的製剤などの良く効く薬が多く開発され、治療薬の選択や病勢のコントロールに困ることは少なくなったと思われていました。リウマチはかなり克服された疾患だと認識されている節があったのですね。しかし、まだまだ医師が把握しきれていない患者さんのunmet needs (満たされていない隠れたニーズ) があるぞ!と。リウマチ業界では、PROによって医師が把握しきれない痛みや倦怠感などを拾い上げ、原因同定・解決していこうという流れが強くなっています」

コロナ禍でアプリを使った研究の重要性が増し、先生が『リウマジョイ』を開発し始めた当初に比べてPROが重要視されるようになっている。このことは、リウマチ診療に関わる医療者、患者だけでなく医学研究の世界においても変革期と言えるかもしれない。

先生が『リウマジョイ』を通じて叶えたいこと

小笠原「いつか…アプリを通して知り合った患者さんと集まる機会があったら、記念写真で皆でこの👍マークをやりたいなって妄想しながら開発していました(笑)」

ー実現できたら良いですね!

ハッピー、ジョイ、ファン♡を軸にして,患者さん第一の実装にこだわった『リウマジョイ』。
先生の想いが『リウマジョイ』を通して今後ますます多くのユーザーの元に届き、多くのハッピー、ジョイ、ファン♡を生み出してくれることに期待して、インタビューを終えた。

◆アプリダウンロードはこちらです

リウマジョイ
関節リウマチ症状変化の複合的要因を医学的に解析するための研究アプリ
https://apps.apple.com/jp/app/id1508138916

“【リウマチ症状をアプリで研究?!】リウマジョイ開発秘話を専門医に特別インタビュー” への2件のフィードバック

  1. 古賀 浩子 より:

    日経で読んでこのアプリを使いたくてずーっと待っています。iPhoneでしか使えないのは悲しいです。スマートフォンでも使えるようにどうぞお願いします。

    • ml_admin より:

      古賀さま、コメントありがとうございます。
      古賀さまのお声はとても嬉しく存じます。
      残念ながら今はAndroidの開発時期は決まっておりませんが、今後の研究の成果次第で開発を検討したいと担当の先生もお話をされておりました。
      もしAndroidをリリースすることになりましたら、弊社もお知らせを更新させていただきます。
      どうぞよろしくお願いいたします。

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